本当のイタリア歌曲 Le Violette(すみれ)やNina(ニーナ)とは

どうも!タラッタです。

声楽初心者が必ずといっていいほど習うのが「イタリア歌曲」です。

多くの人は全音楽譜出版社の『イタリア歌曲集』を用いていると思いますが、収録されているのは、バロック時代の作品をロマン派時代の作曲家(パリゾッティなど)が編曲したものです。そのため、ダイナミックに富み、ピアノ伴奏もしっくりきて歌いやすくなっています。

しかし、全音の『イタリア歌曲集』に載っている楽譜がそのまま「バロックだ」と思い込んでいる人は実に多く、「本当はロマン派の仮面を被せられているんですよ」と教えると驚く人がけっこういます。

さて、今回はそのイタリア歌曲の中から「Le violette」(すみれ)と「Nina」(ニーナ)をご紹介します!ただ、イタリア歌曲は私の専門分野ではないので不手際な点があったらすみません。

「Le violette」(すみれ)

ではまず、これをお聴きください。

これはずばり、現在日本でも流布しているタイプの「Le violette」です(全音の『イタリア歌曲集』に載っているタイプ)。

ほとんど違和感がなく聴けると思います。音大のレッスンや試験でも、「Le violette」を歌うときはこのような形をとっていることが多いでしょう。

ただ私が思うに、このパリゾッティ版の「Le violette」はまだ原曲に近いほうではないかと思います。これ以外の曲だと、バロック当時のものから大幅に変わってしまっているものがあります(「Amarilli」や「Nina」など)。

さて次は、バロック原典に基づく「Le violette」をお聴きいただきましょう。バロックなので、もちろんピアノ伴奏はありません。バロック楽器による伴奏です。印象がガラッと変わります。

いかがでしょうか?私はこの演奏を聴き、「イタリア歌曲はこうでないと!」と強く感じました。パリゾッティ版とは違い、輝かしくて可憐な感じがしますね。波多野睦美さんの声も染みてきます。

これでイメージとしてはお分かりいただけたかと思います。現在流布しているパリゾッティ版は、“原典を基準に考えたら” 偽物というわけです。

でも、どちらにも良さがあります。

現代でいえば、明らかにパリゾッティ版のほうが現実的ですよね。ピアノという楽器がメジャーであるし、日本ではバロック声楽を専門としている人も少ない。すると、自然とパリゾッティ版のほうが「当たり前」になってくるわけです。

原曲版を追求するなら、バロック声楽の歌唱法を学ぶ必要もあります。バロック時代の声楽というのは、ロマン派のようにダイナミックで感情表現をするのではなく、音型や装飾で感情表現することが多いので、感情を発露したがる人にとってはなかなか壁は厚いと言えましょう。

少なくとも、私が通っていた大学・大学院の声楽専攻者は、(言い方は乱暴ですが)ロマン派のオペラバカが多かったです。彼・彼女たちにしてみれば、「音型や装飾による感情表現」はセンスに合わないとも言えます。それが余計に、バロック声楽を知る機会を逃す確率を上げている気がしますね。

「Nina」(ニーナ)

かの有名な「Nina」のパリゾッティ版とバロック原曲版をご紹介しましょう。これは変わりようにビックリします。

まずは馴染み深い「Nina」からお聴きください。

悲壮感がありますね。

次に、原曲版に近い演奏です。歌はカウンターテナーで、伴奏はテルツギターという楽器だそうです。

いかがですか?雰囲気が全然違いますでしょ?

そして最後に、ざっくり言うと上の演奏の伴奏がピアノになっているものです。そのため「疑似バロック」とでも言えましょうか。ただ、歌手はおそらく学習途上者なのでご了承ください。

これ以上、特に説明はしません。お聴きになったとおりです。

最後に

『イタリア歌曲集』に収録されている作品をバロックの作品だと妄信して学んできた方は多いと思います。たしかにバロック音楽といえば完全には間違っていないでしょう。が、ロマン派風に手直しされていることを忘れないようにしたいですね。

でも、どちらにも良い悪いがあります。それは、とてもじゃないけど簡単に説明することはできませんが、演奏会のコンセプトや会場の雰囲気、そして歌い手自身のスタンスに合わせて、どちらのタイプを選ぶか、またどちらでもない別の編曲版を選ぶか考えることが大切かと思います。

まあ、現実的には、きっとパリゾッティ版が主流になってしまうでしょうね。でも、ちゃんとピアノ伴奏になっている原曲版イタリア歌曲集たるものがこの世にはあります(疑似バロック的な楽譜ですね)。是非探してみると良いでしょう。

私が持っているのは、音楽之友社の『原曲に基づく 新イタリア歌曲集』です。が、アマゾンで調べたところ、プレミア価格(2015年9月9日時点)になっていてビックリ!!

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