音大はやめとけ!と言われた高校時代…そして今思うこと

音大はやめとけ

年齢としては今はアラサーだけれども、このくらいの歳になると、本当にこの道で良かったんか、これから先どうすべきなのか、といったことを真剣に考える・・・というより、無性にハラハラした気分になることが多いです。

私は、いわば音楽大学・大学院を終えた者ですが、正直言って、音楽関係の仕事というものは、ほとんど無いと痛感しとります。世にあるのは、演奏家としての仕事、舞台関係(裏方含む)、それとまあ、音楽教師・講師・指導者や音楽事務関連・・・そのへんかな?

それらの仕事は、そこまで需要が多いわけではないし、たとえ仕事があっても、例えば業務委託等でやっとる講師なんかは、大した報酬額ではない。教職も、正教員になれる人は少なく、合格率だけで考えれば難関です(倍率は都道府県によって異なります)。

今、実際に私は音楽教室の講師をやっとりますが、正直それだけで食ってくことは不可能。雀の涙です。私は声楽専門であるため特に言えるんかもしれんけど、需要(声楽を習おうとする人たち)は本当に少ない。いや、おらんことはないけど、需要に対しての供給(講師の数)が多いんですね。

とまあ、あれこれ言い出すとキリがないわけですが、もし仮にね、「私、音大行きたいんです~!」っていう高校生とかおったら、私はきっと心の中で「やめとけやめとけ」って思うと思います。

それは「あんたに才能がない」と決めつけるわけではなくて、「才能があってもたぶん大変な世界だよ。私のように才能がなければ、もっとね」と言いたい気持ちから来るものなんです。

しかし絶対に口に出しては言わんと思う。なぜなら、私が高校時代の担任に「音大なんてやめておいた方がいい。食ってく自信あんの?」と言われたとき、無性に腹が立って現実なんて見ようともしんかったでねぇ。むしろ、「私だけは違う!賭けに出てやる!」と思ってまったでねぇ(笑)

まあ、高校生の中には、素直に言うことを聞く子もおるとは思うけども、音楽が好きで “音大行きたい熱” が出とるさなかに、「やめとけ」「考え直せ」とか言われたら、たいていの子は「なにくそ!」ってなると思います。

で、結局今はどう思っとるのかというと、「高校時代の担任は正しいこと言っとったかもしれん」ということ。むろん、今の道は自分で選んだ道だで、後悔するとか誰かのせいにするとかといったことは無いけれども、いわば、パラレルワールド(別の道を選んどった場合の自分の人生)というものを考えたりはするわけです。

結果としては、今私は音楽講師という仕事をすることができとるんで、文句は言えません。それすらやれん人もござるわけだでね。

でも、音楽以外の何かしらの職を持っとかんと、食ってくことは至難の業です。”何かしらの職” といっても色々ありますが、最初からそういうことをやるって最初から分かってれば、わざわざ音大なんか行かず、初めから職の見つかりやすい大学に行って、趣味で音楽をやればええって思うんです(たしか高校時代の担任もそう言っとらした気がします)。

音大は、国公立ならまだしも、私立だと4年間でざっと約1000万円かかります(もちろん、学科や専攻、楽器メンテナンスやその他講座等の受講の関係などで違ってきます)。親は、子のために多額の投資をするわけです。

もし、子供の音楽熱が中途半端だったら、親は泣くに泣けんです。1000万なんて、男性の平均年収で考えると、2年くらい働いた額です。実際は税金とか保険とかかかるため、年間所得(手取り)はもっと少ない。それに、実際の生活では、他の支出もあるはずです。となると・・・あとはご自身で考えてみてください。

今、「私は音大行きたいんだ!」と思っとる高校生がおったら、まずはじめに、どこまで音楽熱があるか、将来のビジョンは明確かどうか、音楽に命をかける覚悟はあるか、興味本位ではないか、根拠のない自信ではないか、といったあたりをきちんと自問自答したほうがええって私は言いたいです。

音大出ても、たしかに音楽以外の仕事なんていくらでもあります。が、それは、成り行きで音大に入ってまって、結局「音楽の仕事なんて全然あーせんがや!」と気付いたときの結果論です。入学前に知ることができたんなら、わざわざ音大に行くまでもないということです。よほどの “覚悟” があれば別ですが。

・・・と、言っても、やっぱり高校生って若くて力強いですよね。私の言う “覚悟” というのも、彼ら彼女らにとっては、おそらく “勇気” とか “気合い” とかといった範疇のものかもしれません。そこには音大に入るだけのパワーが秘められとるだろうで、本当力強いなあと思うし、どの場面においても大事で、それが人生の前進力となるでしょう。

だけど、私の言う “覚悟” とは、そんな単純なものではありません。きっと、もっと大人にならんと分からんと思います。高校生のうちに気付けるなら良いのですが、まあ、いつか気付けるときが来ると思います。私のように。

そして、私も、まだまだアラサーです。もっと歳を重ねた人から見たら、「それだけの考え方しかないのか」という感じかもしれません。音大に行ったことが人生にどう反映されたかは、きっと、もっと歳を重ね、死ぬときに初めて、知り得ることができるのかもしれませんなぁ。

以上です!


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