業務委託の音楽講師にも最低報酬が適用されようと?!

音楽講師の最低報酬

どうも!タラッタです。

どこかの音楽教室・サービスと契約を結んで音楽講師業をしているフリーランサーは多いと思いますが、またもや新たなニュースが出ました。

前回は、「音楽教室での生徒引き抜き行為について改善を願う」で述べたように、過度な引き抜き行為制限などを阻止していこうとする動きが出てきていることをお伝えしました。

今回は、フリーランスとして働く人たちにも労働法で保護して「最低報酬」を設定するようにしようといった動きについてです。

こんなニュースがありました。

⇒ フリーランスに最低報酬 政府検討、多様な働き方促す
 (日本経済新聞 2018/2/19 23:39配信)

ところで、雇用されて働いている「労働者」(正社員・職員や契約社員等のみならずパートやアルバイトも「労働者」です)には、都道府県ごとに「最低賃金」というものが設定されています(by 最低賃金法)

「使用者は、最低でもこれだけの賃金を労働者に払いなさいよー」ってやつです。

で、それが守られていないと、使用者は罰則を受けることになりえます。

しかし業務委託(請負や委任など)で働いているフリーランサー(今回の例では音楽講師)は、雇用・被雇用の関係になく、「労働者」には当たらず「個人事業主」
上の言うことを聞いて動いていても、一般的には自営業者と同様です。

自分が本当に「個人事業主」かどうかは、講師募集要項や契約書等などをご確認いただくと良いでしょう。

かの有名なヤマハさんの場合、サイト内のページにはこうありました。

ヤマハシステム講師は、自ら独立して事業をおこなう「個人事業主」として、ヤマハ音楽振興会と「ヤマハ音楽教室講師委任契約」を取り交わし、その契約により「生徒を教える役割」を任されます。
会社員のような「雇用契約」ではありません。従って、法令で定められた国民健康保険や国民年金への加入、確定申告などは各自でおこなう必要があります。

http://www.yamaha-mf.or.jp/t-audition/sys/about/
(2018年2月20日)

カワイさんの場合は、

カワイ音楽教室の講師は委任契約です。(株)河合楽器製作所と講師は「委任契約書」を取り交わします。
契約によりカワイ音楽教室おける教育指導業務及びそれに付随する業務を担当していただきます。
雇用契約ではありませんので、国民健康保険、国民年金への加入が必要となります。

http://www.lecturer.kawai.jp/music/exam/contract/
(2018年2月20日)

とありました。

どちらの講師も、「労働者」ではない(雇用契約ではない)ので「個人事業主」ですね。
つまり「最低賃金」の規定が適用されないってことになります。

ということは、いくらでも低い報酬を設定されうるってわけです。

とある音楽教室では、生徒から得た収益のうち3割程度しか講師に還元されません。
1時間のレッスン代が4,000円なら、報酬はわずか1,200円程度(交通費込み)

雇用されて働いている「短時間労働者(アルバイター、パート等)」から見たら、
「時給1,200円ってなかなかいいじゃん」
って感じかもしれませんが、4,000円に対して3割って正直安すぎだし、ほかにも付随する仕事があったりして、1時間のレッスンのために何時間も費やしていることが多々あります(これについては後述します)。

それに、生徒数や時間数に応じた 歩合報酬 があっても、雀の涙・・・。

だから、音楽教室の講師たちには、
「こんな仕事するくらいなら、コンビニでバイトしたほうがマシだ」
と嘆いて辞めてしまう人が少なくないんです。

そもそも(ピアノやギター等ならまだしも)音楽を習う人はそう多いわけではない。
声楽とかフルートとか作曲とか、正直、ある程度報酬が良くても食っていけない業界でしょう。

だから、完全自営で音楽教室をやってる人は、少し高めのレッスン料金を設定し、なんとか生活の足しになるようにしたりしているほどです。
プラス、他の仕事をしている人も多いのではないでしょうか?

元々そんな状況だというのに、音楽教室の講師への待遇は悪すぎる。
講師たちを捨て駒としか思っていないのではないか?と思えてきますね。
とっかえひっかえすればいい・・・とね。

そこで今回のニュースの「最低報酬」のお話です。
(「最低賃金」ではなく「最低報酬」です)

政府が新たに動き始め、仮に「最低報酬」というものがフリーランサーにも適用される時代が来るのであれば・・・。

その額にもよりますが、ひょっとすると3割しかいただけないっていう現状が改善するかもしれないのです。

そうなれば、ちょっとは音楽講師の生活が少しはうるおう・・・
というか、他業の割合を減らせて、音楽講師にもっと労力を割きやすくなると思うんです。

その結果どうなるのかっていったら、当然講師の定着率も伸び、質の高い講師が増える可能性が上がることもありえるわけです。

ただ逆に考えると、こんなデメリットもありえます。

企業側としては、「最低報酬」に見合うだけの質を確保しなきゃいかんってことですから、講師の新規採用がされにくくなる
実績を残せない講師はどんどん切られていく・・・。

だって企業側したら経費を削減したいわけですからね。

でも、質の高い講師しか残らないのは顧客側からしたら有難い話なので、それはそれで悪いことだとは思いません。
が、フリーランサーにとっては、自由度が下がったりチャンスが減ったりすることも起こりえる気がするのです。

となると最悪、音大出身者たちは「音楽講師なんて狭き門の仕事イヤだね」ってなって、業界規模自体が縮小することも・・・。

・・・とまあ色々書きましたが、
何はともあれ、何が一番言いたいのかって言ったら、

 音楽講師の報酬はもっと高くあってしかるべきだ

ってことです。

「最低報酬」の検討が今後どうなっていくかは大変興味がありますが、それがなくても、もっと報酬について改善されていくべきだっていうのが私の思い。

1時間のレッスンって、生徒からしたらたった1時間ですが、講師からしたら大変なんですよね。
例えば、ピアノレッスンなら、

  • レッスンで取り扱う曲をあらかじめ弾けるようにしておく
    (あらかじめ弾ける曲でも、改めて練習してさらい直す)
  • スキル維持や向上のため、自分自身もピアノの先生に習う
  • 1時間の指導内容を、生徒の性格やレベルに合わせて考える
  • 必要に応じて、音楽作品や指導方法等について調査・研究する
  • 必要に応じて、配付する資料を作成する
  • たった1時間しかレッスンがなくても、時間をかけて通勤する
  • 通勤前には、当然身支度も必要
  • レッスン後には、やった内容などを記録する
  • 必要に応じて、メールや電話で生徒のアフターケア

といったことも、1時間のレッスンの時間外に付随してくるわけです。
ピアノのみならず、他の楽器や声楽でもそうです。

上記の対価は、わずか1,200円程度。
何時間かけようが1時間分のみで、交通費も「込み」のため実質なし。

上記には、2人以上の生徒がいる場合は省略できる項目もありますが、それでも1時間1,200円程度ってのは不合理だと思うのです。

私も講師やってるんで、私のケースを前提にすると、
上記の仕事1回分を時給に換算すれば、かなり寛容に見て約800円、場合によってはそれ以下で、300円くらいになることも。そしてそこから交通費を差し引けば赤字

こりゃ、他の仕事をしてないとやっていけません。

報酬UPを交渉したこともありますが、「生徒が集まれば歩合報酬がつくんで貴方も頑張って宣伝してください」でした。
いや、歩合報酬っていったって雀の涙。何人集めろってんだ!・・・ってのが正直な思い。

仮に今の講師の仕事だけで生計を立てるなら、最低でも月に200時間程度のレッスンは必要。
会社なら三六協定を締結しなきゃいかんレベルですが、よくある会社員並みの仕事時間です。

そう考えると数字的には一見ほぼ合理的ですが、先述のとおり、レッスンに付随した作業も実際にする必要があります(特にレッスン終了後に内容を記録するのは契約上すっぽかせない義務的作業ですが、これまた時間がかかる!)

塾講師のアルバイトについても、よく「授業の準備や記録をしたのに、その分の給料が出なかった」という話がありますが、それと似たような感じですね。

で、月に200時間のレッスンをするなら、生徒1人が毎週1回(1時間)通っても、50人の生徒が必要となります。
皆が1回30分だったら、100人必要
(月2回や月1回の人も考慮すると、もっと必要です!)

こりゃ疲労のすさまじい仕事時間になりそうです。

でも、私は担当が声楽なので、生徒は集まりすらしない
人気のピアノのようにはいかないんです。

いや、ピアノの先生方ですら大変そうですけどね。

・・・といった需要の有様です。

そしてレッスン料金の報酬分3割以外の7割については、何に使われているのか、どこへ消えてゆくのか、私はその内訳を知りません。

・・・なんか、いろいろ酷ではないですか。。。

報酬額が改善されればまだ良いのですが、元々私は大変な業界に身を置いているんだなあ・・・と痛感しています。

え?そんなに文句を言うなら辞めてしまえって??

まあそう考えちゃいますよね~(^^;)
たしかに、自分でも「なんでこんな儲からんことに必死になっとるんだ」って思うことありますもん。

と、最後は愚痴に終わってしまいました。今回は以上です。
にんにん♪

 
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